西澤です。
システム開発の見積もりで昔から使われている「人日計算」について、もう破綻しているのではないかと感じることが増えてきました。考えていることを動画にまとめました。
人日計算とは
「このシステムには3日かかる」「この部分は5日かかる」のように、かかる日数に日当を掛けて金額を決める計算方法です。画面側(フロントエンド)や裏側のシステム(バックエンド)といった工程ごとに日数を積み上げて、合計の金額を出します。
| 工程 | 工数 | 単価 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 画面側(フロントエンド) | 3日 | 5万円/日 | 15万円 |
| 裏側のシステム(バックエンド) | 5日 | 5万円/日 | 25万円 |
| 合計 | 40万円 |
AI時代に基準が崩れた
人日計算の前提は「人間が1日フルタイムで働いた量」です。でも今は、作業のかなりの部分をAIがこなせます。部分的にでもAIに任せた時点で、「人間が10時から18時まで働いた1日」という基準はもう成立していません。
仮に5日の見積もりが、実際にはAIで1日で終わっていたらどうでしょう。25万円の請求の内訳が、本当は5万円分の作業だったということになります。発注する側からしても、「本当に5日間フルで働いたの?」と思うのは当然です。
それでも人日計算が残っている理由
では、なぜまだ人日計算が続いているのか。大きな理由は補助金・助成金の申請様式です。
企業がDX関連の補助金を自治体や国へ申請するとき、行政は根拠書類として見積書・注文書・請求書を求めます。そしてその中身は、人日計算を前提にした形です。制度側が「人日計算で出せ」と言っているので、作る側もその形に合わせるしかない。これが、AI時代になっても人日計算が消えない構造的な理由だと思っています。
人日計算が引き起こす問題
人日計算だと、項目ひとつひとつが高くなります。その結果、システム改修の見積もりが500万円、1,000万円、2,000万円になる。昔は妥当だったこの単価も、AIでスピード感を持って仕事ができる今はズレています。
ビジネスでスピードは大事です。日本以外の国がAIを存分に使ってシステムをどんどん改修しているのに、「AIは使えるのに人日計算で高いから改修できない」では、日本のビジネス全体の発展が遅れてしまう。今まで3か月かかっていたものが3日でできる時代なのに、これはすごくもったいないと感じます。
代わりに「技術量」で見積もる
では何で計算すればいいか。私は時間ではなく技術量で見積もるべきだと考えています。
AIに任せられると言っても、どうAIを動かし、どう基盤を作り、それを実際に使えるレベルまで実装するかは、前提となる知識と経験が必要です。本当に何も知らない人と、日頃から実装している人とでは、そこに隔たりがあります。その知識の差・経験・そして使える状態まで持っていく技術量に対して、一つひとつの項目として料金をお見積もりする。これが発注する側・受ける側の両方にとって、一番フェアな形だと思います。
正直に言うと、うちもすぐにはやめられない
ここまで書いておきながらですが、弊社の仕事にも補助金絡みの案件があります。行政が「人日計算で出せ」と言っている以上、技術量ベースの見積書を出せば補助金が下りず、お客さんに迷惑がかかります。だから、制度の様式が変わらないうちは、現場だけが変わることはできません。日本版DOGEのような議論も出てきていますが、まずは申請様式の側から見直していく必要があると思っています。
おわりに
人日計算は、変えるのが難しいというだけで続いている慣習です。時間ではなく技術量で正当な料金をやり取りすること、そして何よりスピード感を持って仕事を動かすこと。このスタンスをIT業界から広げていきたいと思っています。
こんな方へ- AIやDXの導入を正当な技術量で相談したい → IT・AIシステム構築
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※動画は2026年10月に公開したものです。人日計算は今も多くの現場で使われており、補助金申請では必須の様式です。この記事は制度を否定するものではなく、業界の慣習への問題提起です。
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